2018年6月4日

電子レシートの標準化とは?経済産業省が「購買履歴データの管理・利活用の在り方に関する検討会」報告書を公表/ご相談は大阪の社会保険労務士 くぼた労務行政事務所まで!

経済産業省は、「購買履歴データの管理・利活用の在り方に関する検討会」報告書を、平成30年5月11日に公表しました。
近年諸外国では膨大な購買履歴データを一社で保有するアマゾンやアリババグループなど「デジタルジャイアント」とよばれる企業が存在する一方、現時点では、日本には「デジタルジャイアント」は存在しません。また、欧州のようにデータポータビリティー権を整備するまでの意識が日本では社会的に醸成されていないこと等を背景に、「電子レシート」に注目し、日本において目指すべき購買履歴データの活用モデル検討の必要性を示しています。
電子レシートは、個人を起点に電子的な購買履歴データを発行する仕組みです。では、なぜ今、電子レシートを標準化させる必要があるのでしょうか。

 

■ なぜ電子レシートを標準化させるのか?
標準化した電子レシートを普及させることができれば、データが標準化されていることで「アライアンス(企業間の連携)」によるデータの統合や利活用がしやすくなる。
正確な消費者理解に基づく製品・サービスの開発・提供に役立つデータとして、購買履歴データがあります。購買履歴データは、誰が、いつ、どこで、何を買ったのかを示す、非常に有用な情報です。他方、多くの場合、購買履歴データは事業者ごとに分断して管理されているため、各事業者のデータを統合し、特定の個人が様々な店舗で買い回りをしたことを示す購買履歴データを生成することは困難です。
そこで、「電子レシート」に注目し、各店舗から発行される買物レシートを標準仕様で電子化し、個人に蓄積することで、当該個人が起点となって、様々な店舗から発行される電子レシートを統合管理することが可能となります。

 

■ デジタルジャイアント
購買履歴データの集約・活用の3類型に収まりきらない、「デジタルジャイアント」と呼ばれる事業者が出現しており、EC等から構築したプラットフォームでPOSデータや注文履歴を集約するだけでなく、リアル店舗、スマート決済、クラウドサービスなどを通じて生活者との様々なインターフェースを設けるとともに、数々のユーザーサービスの提供を通じて、自社プラットフォームへの参加者とその頻度を増やすことによって、より多くのビッグデータが集まる仕組みを創設しています。
ビッグデータの活用によりサービスが拡充され、サービスの拡充によりプラットフォームへの参加者とその頻度が増え、データのトランザクションが増えることでビッグデータの活用範囲と精度があがり、経済圏がより強固になるという循環が形成されています。

 

■ 海外で先行するデータ流通の取組
欧米においては、個人を起点としたデータ流通の取組みが先行しています。

 

■ 電子レシート活用の3タイプ
電子レシートを導入する場合、導入する小売事業者の判断によって、個人が自身の電子レシートをどの程度コントロールできるかを設計可能です。電子レシートの利活用が可能な範囲によって、以下の3タイプに整理することができ、報告書においてそれぞれのタイプの事例が紹介されています。
1. クローズ(電子レシートを自社内で活用)
2. アライアンス(協調領域として複数社の電子レシートを共有)
3. オープン(生活者の判断で好きなアプリと連携)
報告書によると、購買履歴データを利活用するためにはレシートの電子化されることに意義があり、電子レシートの普及にあたっては独自仕様の乱立はデータ活用時に問題を引き起こす懸念があるため、標準仕様の普及が重要であるとされています。

 

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